Skip to content

イワナがなく

2018年8月10日

一連の、流域とその支流釣行も今回の右岸側の渓で一応は最後に。林道をだらだらと90分ほど歩き、下見のときに確認した尾根を上がる。標高差340m、平均勾配は約30度。この尾根道を手際よく消化する。すると、イワツバメの声が聞こえた。ここから一番近い繁殖地は、5km北にある。いま飛んでいるのが、そのコロニーの個体かどうかはわからないけれど。まだ事例は少ないものの、イワツバメの行動圏構造の輪郭が見えてくる。

尾根道の植生がブナになった。胸高直径80cmぐらいのブナに、ツキノワグマの古い爪痕があった。ここにツキノワグマがいること、その背後にある意味と広がりを考える痕跡。チョウセンゴヨウも生えていた。きょうも、カケスの羽を見つける。

出発から2時間40分後、目的地に到着。開けた渓相。標高は1390mで、水温は11.2度。敬意を表して、逆さ毛鉤で始める。6mのラインでもなんなく振れる。魚影が見え、すぐにあたりがあった。イワナを掴んだとき、いわゆる「イワナが鳴く」を体験する。山本素石さんの本で読んだあれ。撮影後にリリースして、つぎのポイントへ。その直後、また、あたりがあった。5mも進んでいない。このイワナも鳴く。その後もこれの繰り返しで、良場では必ず上がる。釣り師の足跡もあるのに、よく釣れた。撮影時間を除けば、5分に1尾の割合。みんな8寸前後。こんな日はもしかしてと思い、いつもはやらない滝壺に投げると、9寸の幅広イワナがかかった。バーブレスに変えようと考えていたが、欲が出てガマの重い鉤にする。ナメ滝を越えると渓相は一変して、ゴルジュと滝が続く暗い渓に。この水温では泳ぎたくないので右岸から巻いて遡行する。

今回は渓を知るよりも個体を見ることを優先し、イワナとのやり取りはせず、釣り上げることに重きを置いてしまった。来週は、この流域に残した宿題をやっつけるか、北側の流域に取りかかるか。