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実から出た粘着の線

2019年3月9日

茅野市。春らしい光のなか、シジュウカラとカワラヒワのさえずりが聞こえる。道路沿いのケヤキの樹上に、ホザキヤドリギの実がたくさんなっていた。これはとくに珍しい風景ではない。そこにヒヨドリが5羽いたので、あれが見られるかもしれないと思い引き返す。

山手にあるものはともかく、市街地のヤドリギ類は誰が散布しているのだろうか。あの実を食べる可能性のある種は、すぐに何種か予想できる。でも、その場面を自分で確認する必要がある。「思う」と「見た」の違いは、とても大きい。

しばらく見ていると、ヒヨドリがホザキヤドリギの実をくわえ、飲み込んだ。やっと、これを観察できた。ヒヨドリのフンにホザキヤドリギの実が入っていることもわかった。くちばしを何度も木の枝にこすりつけていたのは、あのネバネバを取るためだろう。ツグミが地上で何かを採食していたけれど、地上に落ちたホザキヤドリギの実なのか、別のものなかはわからなかった。

鳴き声や行動の意味。知りたいことは、日常のなかにたくさんある。それに気づけさえすれば、近づく道のりも短くなる。