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長さと数の比較:ゴヨウマツとハイマツ

富士山や北アルプスなどでホシガラスの貯食行動を見てきて、単純に気になったこと。ホシガラスはおもにハイマツやゴヨウマツの種子を貯食する。では、球果長(長径)と種子数の関係はどうなっているのだろうか。各種の許可を取得し、ゴヨウマツとハイマツの球果を採集して比較した。

球果長と種子数は両種とも正の相関があった。つまりホシガラスは、大きな球果を採ったほうが多くの種子を得られる。また、ゴヨウマツとハイマツをくらべると、ハイマツのほうが球果長は短いのに種子数は多い。ハイマツ帯のある地域のホシガラスは、ゴヨウマツを利用する集団よりも効率よく種子を得ていそうだ。来年は、標高ごとの両種の球果長と種子数も比較してみたい。

ゴヨウマツを利用するホシガラスは、たぶんほかの木の実も貯食している(たとえば、ブナやミズナラなど)。ハイマツ利用とゴヨウマツ利用で、おそらくホシガラスの生態に顕著な違いはないだろうけど、種子散布の様式は異なる。森林生態系に与える影響も違ってきそうだ。

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