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ベランダの種子のその後

昨年の1月、ベランダに吊していた干し柿をヒヨドリが食べに来た。網をかけようかとも思ったけれど、ヒヨドリのフンのなかに種子が入っていることがわかり、その種子欲しさに、食べるにまかせることに。仕事のない日は、というか家で仕事をする日はずっと見ていたのだけど、干し柿があるときは、ヒヨドリはかなりの時間をうちのベランダで過ごしていた。そして、フンも大量に落としていく。個体識別はできていないが、ヒヨドリは同時に2羽来ることがあった。この2羽は、干し柿の食べかたにも違いがあった。干し柿が食べ尽くされた後、さらにフンを手に入れるためにミカンを吊しておいた。ミカンに慣れたころ、冷凍したミカン(堅くて食べられない)に差し替える実験をした。が、冷凍ミカンを吊した後、ミカンが解凍されてからもなぜかヒヨドリはベランダに来ることはなかった。

さて、採集したフンを見てみよう。1月20日過ぎから定期的にフンを集めていくと、最初はナンテンの実が目立った。うちのベランダから半径50m以内に、実のなっているナンテンは1本しかない。1月30日ごろからオモトの実が入るようになる。緑色の柔らかい葉が多数入っていたのだけど、近所の畑から失敬してきたのだろうか。

フンを水で洗って種子を取り出す。粉砕された種子はない。比較のため、近くのキジバトのねぐらの下で拾得したフン(約20個)を調べると、なかにあった種子はすべて粉砕されていた。キジバトは種子破壊者(消費者)であることの思いを強くした。僕は鳥の仮剥製を作るときに「砂のう」をいつも確認しているけれど、キジバトからは小石がざくざく出てくるものの、ヒヨドリは砂が少しある程度。で、ヒヨドリのフンから得られた種子を4月にベランダのプランターに播種して、9月まで経過を観察した。冬のあいだの種子の保存状態がよくなかったからか、発芽をして育ったのはヘクソカズラだけだった。

散布から発芽後まで追跡しないと、種子散布の様相は見えてこない。なお、地面に落ちていたホザキヤドリギの種子を植えてみたが、まったく発芽しなかったことを付記しておく。