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岩魚留の先

2017年8月26日

「岩魚留小屋」。地形図を見ているとき、気になるものを見つけた。2016年1月のこと。島々谷川から南沢を徳本峠へ向かう途中にある小屋だ。その小屋の西側には、「岩魚留沢」というものもある。いつかここに行ってみたいと思っていた。

夜が明けてから林道を歩き始める。雨がぱらついてきた。ツキノワグマの痕跡の多い場所なのでクマ鈴をつけた。本線の良場は見るだけにしてどんどん進む。南沢が近づくと雨は上がり、青空が少し見えた。木々の葉の色、風、空、匂いが秋の始まりを告げている。軽装に物を言わせ、大きなザックを背負った登山者を追い抜いて行く。アップダウンの少ない道なのでスピードが落ちない。

南沢は水量の多い渓だ。起点から2時間ほど歩いたところで、南沢の最初の支流を少し釣るが魚影も反応もない。林床に生えているスゲ属で手を切り、幸先の良いスタート。登山道沿いにカツラの大木があり、タマアジサイ、ダイモンジソウなどの花を見る。

ワサビ沢が迫るとテンカラのできそうな場所が増えてくる。先行者はいない。竿を出してはたたんで歩き、また竿を出すということを繰り返して遡行する。岩魚留小屋の手前で8寸のイワナをかけた。これまでに見たもののなかで一番黒っぽい。岩魚留小屋より上流にもイワナが生息しているのを確認して引き返す。ニホンジカの痕跡はあまり目につかない。

帰路、小さなゴルジュで良型のイワナをばらしてしまった。その後、本線で毛鉤が見えなくなる時間帯まで釣り下ったが、収穫はなかった。歩きが中心の釣りだったので、13時間かけて23kmを移動した。