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本州中部の夏前の山で見たもの

2014年7月20日

10年くらい前、夏は数年間、群馬県の嬬恋村(鹿沢高原)で自然観察会のお手伝いをしていた。そのときによく眺めていた四阿山に登った。くもりのち晴れ。セミ類はほとんど鳴いていない。菅平牧場で車を止めると、ホオアカのさえずりが聞こえた。イワツバメが上空を飛ぶ。

登山道沿いのクロマメノキの実はまだ熟していない。ウツボグサとミネウスユキソウ、ハクサンフウロの花が多い。鹿沢高原で見知った花たちを確認しながらの登り。クルマユリ、シュロソウ、ゴゼンタチバナ。イブキジャコウソウを見つけると、必ず触って香りを確かめる。カワネズミの匂い。ネバリノギランとヤナギランは少しだけ咲いていた。クガイソウはまだ。ハクサンチドリの花の形が好きだ。

シラカバが優占し、林床にササ類が生えている明るい林でクロジがよくさえずっていた。1時間ほど登るとルリビタキやメボソムシクイのさえずりが聞こえてくる。ヤハズハンノキとオヒョウがあって嬉しい。ゴヨウマツ(チョウセンゴヨウか?)とハイマツが比較的近い距離に生育している。ホシガラスはもう、ハイマツの種子を食べていた。ここでモズを見て、ちょっと変な感じ。

霧のなか、地上に近い場所をアマツバメが飛んでいた。喉が膨らんでいたから、ヒナに運ぶための虫を捕っているのだろう。四阿山の後は根子岳を回る。久しぶりにミヤマモンキチョウを見る。テンはタカネザクラの実を食べているようで、ほぼ未消化の種子がフンとして排泄されている。タカネバラかと思ったのは、憧れのカラフトイバラだった。本種の花を見るのが、今年の目標のひとつであった。カモシカが走る。

キシャヤスデ(と思われる)が登山道をよくはっていた。捕まえて匂いをかぐ。標高の高いところでは、マイヅルソウの花が残っていた。シラカバとダケカンバが混生している場所で、ヤマナラシを発見。葉の揺れかたを確認する。

ところで、今回の山行では登山道にオコジョが出現した。初めて目にする哺乳類。思ったよりも小さかった。写真や映像、剥製では何度も見てきたけど、きょうの数秒の出会いにはおよばない。その空気に触れ、同じ空間にいないと実感できないことがある。生息地で実物を見ないとダメ。その種を取り巻くものを掴まないと、といまさらながら強く思った次第。だからいつも学生には、野外で実物を見てほしいと思っている。この感覚、なかなか人には伝わりませんね。

休日にしては登山者が少なく、ハードな登りが続くコースでもなく、雨に降られることもなかった。来年はイワカガミの花が咲く時季に登りたい。マヒワが2羽いたけれど、繁殖しているのかな。