先週、北杜市にミツバツツジの花を見に行きました。北杜市は河川沿いに崖が多くあり、立体的な地形が好きな僕はそこを通るたびに眺め、あわよくば崖で繁殖する鳥はいないかと注視しています。木の葉の落ちた時期は岩肌や断面が露出しますが、夏緑樹が展葉しているときは隠れてしまう部分もあります。その鋭い斜度を覆い隠すかのように。
春先、この崖にはミツバツツジの花が咲きます。山の斜面などに生えているものとは違い、尖った場所に定着した彼らの危うさに惹かれるというのも、ここに足を運ぶ遠因となっているのでしょう。
色の少ない時季に鮮やかな紫色を提供してくれるミツバツツジ類の花。春の木の花としては花期はそれほど長くはなく、咲き終わると存在が雑木のなかに紛れ込み、つぎに気づくのは翌年の春だったりします。春先に突然あらわれる紫色の崖にはっとする心情。それは、1年前の記憶に触れる懐かしさと、今年も見ることができた嬉しさによるものです。