フジ類の花が咲くと、テンカラ(毛鉤釣り)のシーズンが始まるとされている。本州中部では、4月下旬から5月にかけてノダフジ(フジ)の花が咲き始める。職漁師からの聞き取りを読むと、ミズキの花が咲くころからが良いという記述もある。
フジ類の花が咲く前からテンカラをするのだけど、木の花の開花を目安にしているところが面白い。僕の場合、ノダフジよりも少し後に咲き始めるヤマツツジの花がひとつの基準になっている。その年の気候や地域にもよるけれど、本州中部の低山帯でヤマツツジの花が咲くのは、5月上旬から。源流はともかく、山地帯の渓では木の葉もかなり展葉している。雪代も落ち着き、水生昆虫の成虫が飛ぶ姿もよく目にするころ。今年も渓魚を求めて、あの渓やこの沢を遡行する時期が来た。