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白い山肌に憧れる

2012年9月6日

短大時代の友人のTくんと西沢渓谷に行った。晴れのちくもり。彼の車で広瀬ダムまで移動。道の駅の先の駐車場に止め、そこからは歩き。

すぐに落葉広葉樹の林になる。ミズナラがあるから標高は1000mを越えているだろう。林床のササ類がほぼすべて枯れている(ササはスズタケのようだ)。このササ類が元気なころは、ソウシチョウがたくさんいただろうなという印象。ササ類がないと、ウグイスやヤブサメ、マミジロもだめか。クロジも期待できない。カエデ類などに、シカが樹皮を剥がしたと思われる跡がいくつかある。富士山もいずれこんなになるのかな。

西沢渓谷は谷に沿って登山道がある。最初は2人で並んで歩いていたけれど、次第に道幅が狭くなった。高い吊り橋を渡る。水はとても澄んでいて、淵はエメラルドグリーン。三重県の実家の川を思い出す。淵に流れ込む水の白色も美しい。そんな風景が現れるたびに「わぁ〜」とか「おぉ〜」と歓声をあげていたのに、同じようなものが続くと言葉は少なくなる。シャッターも切らなくなる。紅葉の時期に来れば、さぞ絵になる写真が撮れるだろうな。滝や谷を流れる水の音が大きくて鳥の声は何も聞こえない。涼しくていいけれど。

トチノキが多く、ホソエカエデも生えている。常緑樹が多いなと思ったら、アズマシャクナゲの群落だった。これだけ生えていれば、花の時期は見事だろうに。

終点からは平坦なトロッコ道を進む。また、2人で並んで。ヤイロチョウのいそうな環境でもある。白っぽい山肌は、触るとボロボロ崩れる。西沢渓谷の景観は素晴らしいのだけど、トロッコにまつわる山の仕事が気になった。そこにはどんな暮らしがあったのか、山とどのように関わっていたのだろうか。地元に記憶が残っているうちに、聞き書きをしたら興味深いものが残せるように思う。自然観察会では、こんな地域の記憶も大切なツールになるし。

 

西沢渓谷