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落ちる光の線

2020年11月13日

サケ科魚類の産卵生態に詳しいかたに案内してもらい、M川を歩く。目的地は10km先。アカネズミがオニグルミを食べた跡や、鳥の古巣を見ながら進む。M谷の手前で川に降りた。ヤマドリが飛ぶ。本流よりも支流のほうが良さそうということで、支流に入るとさっそく産卵床と思われる場所があった。でもイワナはいない。河床が掘り返されているところを探しながら遡行する。しばらく行くと、産卵床の近くにイワナがついている場所があった。その後も流れを遡り、双眼鏡で探索する。結果的には、見に来る時期が遅かったのかもしれない。水温を測り忘れたのは痛かった。

夏に釣りに入った渓に、イワナの産卵を見に行くのは初めてだった。産卵行動は観察できなくても、産卵床は残っている。この痕跡を頼りに流れを見て歩くのは楽しい。イワナが上流や下流に移動できないような障害物の多い区間は痕跡もなく、魚も走らない。こんな場所はたぶん、イワナが残りにくいのだろう。イワナが釣れない理由のひとつに、魚がそもそもそこにいないというものがある。こんなことも、秋に渓を歩くことで理解できるようになる。