2013年8月8日
登ってみたい山がある。目的は山からの景色だったり、そこに咲いている花だったりするのだけど、山の名前も目的のひとつだ。山梨県の東部には、大蔵高丸やハマイバ丸といった魅力的な名前の山がある。ぜひ、行ってみたいと思う。友達のTくんと、今回はその辺りを歩くことにした。
カラマツの伐開地に立つと、シラフヒゲナガカミキリが飛んで来て服に止まった。コマドリのさえずりがよく聞こえる。林道を歩いて進む。ソウシチョウが多いな。標高1620m。メボソムシクイもさえずっている。ウソがいた。オレンジ色のヤスデ類(キシャヤスデのようだ)をしばしば目にするけど、今年は多い年なのだろうか。イケマの花は見頃で、イタドリはこれから咲くようだ。コエゾゼミの声。
リョウブ、ノリウツギが咲いている。尾根道を上っていると、谷からルリビタキの声が聞こえてきた。断続的に草地があらわれ、花が咲いている。キオンやツリガネニンジン、マツムシソウ。ウスユキソウとコウリンカは比較的多いようだ。ハナイカリと嬉しい邂逅。
オオカメノキの赤い実が鮮やかだ。ミドリシジミが地面で休んでいて、小型のミヤマクワガタのオスが林道を歩いていた。シカに食べられたと思われるササ類が所々で枯れている。植生は山地帯から亜高山帯下部といった感じ。あの草原には、繁殖期にどんな鳥がいるのだろうかと気になって仕方がない。来年、もっと早い時期に来ないといけないな。
そこに行ってみたいと思わせ、突き動かす力はどこからくるのかを考え、整理することは、自分を知る上でとても重要だ。何に関心を示すのか、自分の感覚を楽しませる方法は何か。
ここからは見えない、あの丘の向こうはどうなっているのだろう。何がいるのか、あるのかを見たい。そのときの心はきっと、特別なものは求めているわけではないはず。丘の上に登る途中の気持ちは、ただ、そこに行ってみたいだけ。日本中の野山を見て廻るのはたぶん難しい。だったらせめて、自分に開かれた(関心のある)場所は歩いておきたい。