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日常の遠くの山

2012年8月29日

都留文科大学の裏山(尾崎山:967m)を歩く、晴れ。大学の裏山は、通学のときに多くの学生の目に入る位置にある(それを自覚しているかどうかは別として)。さらに裏山は、ぐるりと歩ける道があるのに登山者は多くない。3000人ほどいる学生の内、日常的に見ている裏山のピークを踏んだことのある人と、富士山をピークハントしたことのある人では後者のほうが確実に多いはず。そんな山に登るのは、そりゃあ楽しいですよ。

大学キャンパスのエノキの実が熟していて、それを数羽のヒヨドリが食べに来ている。エノキの種子は手際よく散布されることだろう。

道々にコナラのドングリ+葉つきの枝が落ちている。ハイイロチョッキリの仕事だ。キク科の白い花も咲いている。アカマツ林にハシブトガラスが謎の集合。風切と尾羽を換羽中だ。尾根を登っているとエゾゼミの声が聞こえてきた。手触りの悪いヒノキの葉だなと思って葉裏を確認するとサワラだった。チッチゼミの声もする。

鳥の声が何もしない急な登り道を詰める。この11年間で裏山の尾根を歩くのは3回目だ。近い場所なのにアウェイ。山地帯の樹木がパラパラ生えている。リョウブの葉がしおれているのは雨が降らないから?

尾崎山の主脈に取り付くと、ミズナラが出始めた。左手には文台山。ハイイロチョッキリはミズナラのドングリにも産卵している。これまでにシラカシにも産卵することを確認しているけれど、近くにあるマテバシイにはやっていなかった。

山頂で昼食。甘い香りが風に乗ってくる。花だと思うのだけど、何かわからない。山頂から下り始めるときも、時折その香りがする。しばらくして気づいた。クズの花だ。見知っているクズの香りにすぐに気づけなかったのは悔しい。でも、あれかな? これかな? と想像する時間は楽しかった。わかってしまうと思い巡らすことをやめてしまう。いや、別の事柄に関心が移る。たとえば、遠くまで届く香りの役割とか。そうなると、もう香りから花の色や形を想像できない。

 

エノキの実