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乾燥の地

2018年8月5日

乗鞍岳にホシガラスの調査に行く。晴れ。もう、秋を思わせる風が吹いている。山麓ではヤナギラン、マルバダケブキ、ハンゴウソウの花が咲いていた。乗鞍は今年で3年目だけど、7月に調査に来られなかったのは初めて。今年はハイマツの球果が大豊作。

高山帯下部を通過して稜線を目指すが、ホシガラスがいない。貯食行動は始まっていないようだ。ハイマツ帯の下限を歩いても、球果をばらした痕跡がない。つまり、まだ種子が熟していないのだろう。今シーズンの少雨が影響しているのか。たぶん関係ないけれど、枝落としもほとんど見つからない。ハイマツの実生はとても少なく、トウヤクリンドウがもう咲いている。昨年とはかなり違う生物季節。もう少し様子を見よう。

高山帯ではコバイケイソウ、コイワカガミ、チングルマ、ミヤマキンバイなどの花が咲いていた。クロマメノキの緑が優しい。標高2760m地点で、コエゾゼミと思われる声を聞いた。親鳥の動きから、イワヒバリの巣を初めて見つける。こんな岩の隙間にあるなんて、これは探しても見つからないわけだ。ハイマツの発芽実験の状況を見て歩き、発芽に関する新たな疑問が生まれた。

どの局面でも問われている、方向と覚悟。人それぞれの理由と意志。そこに踏み込む。立ち止まり、眩しいのか見たくないのか。知識の陰に隠れた意図を探る。