Skip to content

霧の隙間

2018年10月15日

八ヶ岳の南側の峰々が白くなっていた。寒いわけだ。霧が出て、また山を隠す。

先日、南信の博物館でホシガラスとハイマツのお話をさせていただいた。ホシガラスとハイマツは登山者には馴染みの生き物で、高山では目にする機会も多い。講演後の雑踏のなかでの立ち話では、いつも興味深い話題を持ちかけられる。場の空気が緩み、帰り支度をする人の群れを横目に、未知な話題に心が動く。会場からの質問には、こちらの理解を深めるきっかけをもらうこともある。異分野の人との雑談のなかに、つぎの展開に連なる着想が潜んでいる。会話の方向に、脈絡がないほうがより広がりを期待できる。すでにあるものを駆使する楽しさ。あるいは、新たなものを作り出す喜び。人と関わることで形になるものもある。