2019年7月26日
編笠山の南麓を横断する。久しぶりに登山靴を履くが、結果的にはいつもの長靴で大丈夫だった。一応、5mmのロープをザックに入れてきたものの、出番はなかった。
調査対象のチョウセンゴヨウを探しつつ登って行く。標高1960m、植林地を抜けると自然林になり、そこからチョウセンゴヨウが出て来た。トラツグミのさえずりが聞こえる。ハクサンシャクナゲとヒメウスノキの花が咲いていた。2080m地点でホシガラスの声を聞くが姿は見えない。2160mのところでキジバトがさえずっていた。針葉樹林帯で何を食べ、どこに営巣しているのだろう。地形的な要因からか、ニホンジカの痕跡はほとんどない。アブ類が多数つきまとってくる。15年以上亜高山帯に通っているが、吸血性のアブ類を見たことがなかった。富士山や乗鞍岳などとは何か違う。
標高2000mのラインを北西へ。カケスを見る。亜高山帯に新鮮なイノシシの痕跡があった。ニホンジカのフンも増えてきた。このトラバースでもチョウセンゴヨウはけっこう見かける。林内には実生や稚樹があるし、ギャップには低木もあり、順調に更新しているようだ。しかし、球果をつけている木は少ない。豊凶もあるだろうが、DBHと球果の有無は関係がありそう。それと、DBHと球果長も。球果長と種子数は今年調べてみよう。このほかに、標高による球果の有無を見るのも良さそうだ。ところで、ヒメネズミはチョウセンゴヨウの種子を割って中身を食べることができるのだろうか。地上に落ちている球果をたくさん観察していくと、損傷の仕方が2種類あることに気づく。オオウラジロノキが見られたので満足。コメツガ、シラビソ、カラマツの実生のおさらい。
ゴヨウマツやハイマツもそうだけど、チョウセンゴヨウについても「発芽」と「定着」はわけて考える必要がある。今回、地上に落ちた球果から発芽しているものを見つけた。この個体は追跡したいと思う。1例の観察事例から、結果への道筋が変わってくる。
斜面地にあるカラマツの林床がイネ科植物の優占する草地になっている場所があり、どんな理由でこんな植生になるのかとても気になる。土砂崩れでもないし、雪崩でもない。やはりニホンジカの摂食なのか。あるいは土壌や風の影響か。葉に白い模様の入ったアザミ類を見る。
山地帯まで降りてくると、例のクリにあったゴマダラオトシブミの揺籃には脱出孔が空いていた。ヨツバヒヨドリの花が咲く。きょうは7時間30分で約8kmの移動距離だった。林野庁からの各種調査の許可は取得済みなので、来月は木登り道具を持って出掛ける予定。