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見たものと知ったこと

2012年10月29日

鳥類調査のため、富士山北麓の2合目へ。晴れ、気温9度。途中、林道で紅葉や富士山の写真を撮っていたらエゾゼミの声を聞いた。こんな時期に。調査地ではブナやカエデ類の紅葉が見頃だ。レモンイエローのコシアブラ、オトコヨウゾメのベビーピンクの紅葉に心を奪われる。カツラの葉の甘い香り。シロハラを確認。登山道にはイノシシが掘り起こしたと思われる跡がいくつもあった。ここで調査をするようになって4年目になるが、初めて目にする。
今年は全国的にブナが不作らしいのだけど、富士山北麓では豊作だ。その豊潤な実を食べにイカルとシメが来ている。リスも2頭いて、樹上でガシガシやっている。ボトボトとたくさん落ちてくるのはリスの食べた実だった。僕はどんな鳥がどんな草木の実を食べるのかを記録しているので、今回そのリストが更新された(イカルとシメ)。図鑑や論文で見知ったことを、自分の目で確認していく作業。この経験を通して少しずつ“知識”を蓄積するのは、新たな認識を作り上げていくことにつながる。いろんなエピソードを含みつつ。自分が“見た”ことは、自信を持って言える。でも、見たもののすべてが正しいとは限らない。
この時期の晴れた日の富士山は、カラマツの紅葉と山頂付近の雪との対比が美しい。それと、空の青。でも、本当に好きなのは日没直後の縹色の空。そんな風景を見るために、また山に足を運ぶのです。釣瓶落としですぐに真っ暗になってしまうけど。